運動クラブや保育園のこと

診察室ではきっちり受け答えができないのか、しないのか、小学校高学年になってもなかなか会話が成立しない。はきはき応答し、ちゃんとあいさつもできるのは、ごく少数のよくしつけられた子と、注目すべき点だが、武道を習っていたり、運動クラブに入っている子供に多い。時に奇抜な髪型や服装を伴うが、さしたる問題ではない。

 

朝、登校の子供達に出会っても、まつ先にあいさつしてくれるのは、野球チームの選手達である。このところあいさつや礼儀・会話において、各家庭でのしつけの差よりも、クラブやサークルに属しているかどうかの差が顕著となってきた。それは、水泳の時間、スイミングスクールに通っている子と、そうでない子が明らかに違うのに似ている。

 

今の子供達は、家族・親族の規模も小さくなり、人との関わりは少数特定化し、対人関係の幅も狭く、経験も少ない。したがって意識して小学生に、地域でのサークルやクラブ活動への参加を促す必要がありそうである。

 

ただ、問題となるのはその指導者の資質。クラブの現状に耐えられず、不調を訴える子らに接し、話を聞いていると、勝敗への過度のこだわりと、プロ選手育成・選抜だけが目的かと疑問に思えるものもある。身近に人を育てる有能な指導者を持つことは、その地域の何よりの財産。私達はそれにふさわしい待遇と評価を与えているだろうか。

 

やっと名前が呼ばれ、診察の番がきた。「何してんのそこへ置いとき、はよおいで」子どもが読んでいた絵本を元の本箱に戻そうとそているのに、制止するおばあさん。ちょっと待って、ほめてあげれば、保育所でしつけられた子の良き習慣も定着するであろうに。

 

幼い三兄弟が診察室に入ってきては 、ぼくが先、私が先と押し合い、椅子の取り合いとなる。一番小さな園児が順番と言う。「そう、カルテの順にしよう」と言うと納得して静かになる。この幼児も保育所で「順番」という事をしつけられ、身についている。

 

核家族化や幼児期よりの長時間保育を考えるとき、しつけの面でも保育所の役割は大きい。また保母さんは、子供だけでなく家族とも毎日接しており、家庭での子育てやしつけの相談を受け、アドバイスを行う適任者でもある。

 

ここでも注意すべきは、園での熱心な保育に保護者の過度な依存が生じることである。「家ではいやがり飲まないのですが、保育所では上手に飲ましてくれるんです」と、朝の薬から園にお願いしている。またアトピー児で、軟こう処置も園に頼っている例もある。善意や援助が依存をうみ、自立をさまたげる場合も時にある。

先日、保育園へ新入園児の検診に行った。暖かい陽射しの中、窓には外に向け、話題のポスターが貼られていた。SAMさんが息子を抱き上げたもので、「育児をしない男は父親と呼ばない」というコピーが添えられていた。

 

官庁の作ったものとは思えぬ出来ばえだが、今、行政に推進願いたいのは、保育園に保父さんと呼ぶのか、男性保育士を増やしてほしいことである。育児に父親の参加が必要なように、保育園にも保父さんを必要としている