突発性発疹症

「突発性発疹症と思うのですが」と、はじめて熱を出した赤ちゃんを連れてこられます。

初めての発熱のわりには若い母親自身が落ち着いている。

育児書や育児雑誌などよく読まれており、「きっとここに書かれている突発性発疹にちがいない。高熱が続くが心配ない病気だ」との、予備知識をもっているからであろう。

正しい予備知識をもっていると、あとの説明もしやすい。

 

 

生まれて初めての発熱はすべてこの病気だというわけてはありませんが、およそその八十%が突発性発疹症であり、お母さんの診断がほぼあたります。

 

しかし、突発性発疹症だろうと思っても、一歳未満の乳児であり、やはり小児科を受診して下さい。以前も「突発だと思いみていましたが、なかなか熱が下がらず発疹も出ません」と発熱五日目にやっと連れてこられ、結局腎臓と尿管の奇形を伴った尿路感染症であった例がありました。

 

突発性発疹症は、生後四~五ヶ月から一歳ぐらいの赤ちゃんが、突然高い熱を出し、三~四日続きます。

咳、鼻汁などのかぜ症状は目立ちませんが、下痢を伴うことは比較的多い。発熱のために多少の不さげんや、食欲不振がみられますが、他の原因による発熱にくらべれば、赤ちゃんはずっと元気です。

 

 

特徴的な赤い発疹は、三~四日続いた高熱が下がると同時に全身に出現します。

発疹はいくぶん風疹に似たものですが、はしかや風疹とは全く別の病気です。発疹は二~三日であとを残さずに消えます。

 

 

突発性発疹症は、おそらくウィルスによるものであろうと考えられていましたが、正確なところは不明のままでした。

一九八八年、阪大微研の山西博士により、ヒトヘルペスウィルス番(HHV-6)が、原因ウィルスであると証明されました。

その後、ヒトへルペスウィルス7番(HHV-7)も、同様の症状を呈することがわかりました。

「これは突発性発疹ですね」と言うと、「以前に一度かかりましたが、2度かかるのですか」とけげんに問われます.

突発性発疹の2度がかりは知られていましたが、どうも2回目の突発は月月HHV-7によるものらしい。

 

突発性発疹症の潜伏期間は、八~十四日(平均十日)て、季節の変動なく年中みられます。

合併症は通常ありませんが、高熱に伴い全身性の痙攣がまれにみられます。

突発性発疹らしいという事は言えてもはっきりとした診断は熱が下がり発疹が出てからやっとつくものです。

それまでの高熱のときは、髄膜炎や肺炎、敗血症などの重い病気の事も考えてみていかなくてはなりません。

療は特別なものはなく、高い熱に対する一般的な対応が中心となります。

 

解熱剤の使用にあたっては、用量・用法に十分注意して下さい。過量となると低体温となり危険です。